「せからしか」作品講評

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戦国日本から現代までを繋いだその時代を生き抜いた人々の姿を赤裸々に描き出した1作だ。

戦国期から戦後の日本を舞台に描き出した冒頭は時代小説のような味わい深さを見せながら展開され、現代小説とは別の魅力を放ち読者を惹き付ける。また、本作品では一般的にあまりなじみのない九州弁をあえてそのまま描き切っているが、前後の文章から読者が容易に内容を理解できるように工夫されているとともに、会話のテンポを自在に操っている。標準語にはない独特の雰囲気や人情味、スピード感が物語の完成度をさらに高めているといえる。

実際の事件や経済状況を投影した中でもひと際臨場感を放っているのは、労災に関するエピソードだ。突然脳内出血で倒れたものの、労災認定に関する知識を持たない著者が相手に気圧されてしまう様子には、思わず読者も感情移入しながら読み進めることだろう。

人情味を感じさせるエピソードと人間の冷徹さを表出させたエピソードのどちらも色濃く描き切っていることで、読者共感を呼ぶ1作として仕上げることに成功している。

電子書籍としてその描写力の高さとストーリーの読み応えを読者に伝えきっていることはいうまでもないが、紙独特の質感を味わいたいという読者は今も多いだろう。
ぜひ今回、新たにPODとしての出版をお考えいただければ幸いです。

電子ブックを読むには専用のアプリが用意されています。Amazonだとkindle。楽天ブックスだとkoboがあります。簡単にインストールできます。
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まこっちゃん

まこっちゃん

元自動車会社工員、配管工、自動車洗車場、呉服担ぎ屋、土木作業員

昭和61年、琉球大学キャンパス内で架橋工事中に突然脳内出血に倒れる。
以降左半身不随の後遺症が残り1種2級の身体障碍者となる。

昭和64年(平成元年)リハビリセンターで入所中に知り合って交際していた女性職員と入籍。
福岡県粕屋郡古賀町(現古賀市)へ転居。彼女が働き、家事全般は夫がする暮らしを始める。生活費は折半。いわゆる「主夫」となって今に至る。

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