脳卒中と復上死

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<複上死>専門家U氏

「腹上死する人の多くはもともと心臓や脳になんらかの潜在的疾患を抱えていた。それに気付かずに性行為し、血圧や心拍数が急上昇して脳出血や心筋梗塞を起こすのです」

 とくに高齢男性の場合、激しく腰を振り続けることは難しく、途中で休むことになる。この繰り返しの結果、自律神経のバランスが崩れ、血流が乱れて心筋梗塞などを引き起こすのだという。

 上野氏が発表した腹上死に関する論文によると、「腹上死」に占める女性の割合は8%ほどで、9割以上が男性だった。死因の56%が心筋梗塞や冠状動脈硬化などの心血管系で、43%が脳出血やくも膜下出血などの脳血管系、その他が1%となっている。

「腹上死というと挿入中の死亡を想像しがちですが、発作が起きるのは行為後が大半で、特に心臓系疾患の場合は行為を終えてから数時間後のケースが多い。いわゆる“腹上死”のイメージに近いのは脳血管系の場合で、性交中や射精直後に突然意識を失うことがあります」

 腹上死の発生場所は自宅、ホテル、愛人宅の順だが、男女の間柄は「夫婦」よりもも「愛人関係」が多いというのは興味深い。

海外の研究結果にも同じ指摘があった。米国クリーブランド・クリニックの心臓外科医マーク・ギリノフ氏とスティーブ・ニッセン氏は2012年に刊行した著書『Heart 411』で、1972年から1992年までの20年間に起きた2万1000人の心停止について分析した。

 そのうち、〈セックスの最中、あるいは直後に心臓発作を起こす男性のほとんどは若い女性と浮気をした中高年〉だとしている。ちみに心停止した人の平均年齢は61.3歳だった。

 米国ミシガン州立大学のフイ・リュウ准教授は57歳から85歳までの2204人についてセックスと心臓疾患の関連を調査。2016年に学術誌の中で〈過度の快楽や満足を得るセックスは心臓発作などのリスクが高い〉、〈高齢男性がセックスを行なう際にオーガズムを得ようと励むことは心臓リスクを高める〉と述べている。

 つまり、中高年男性がセックスに張り切り過ぎてしまうと、腹上死のリスクが高まるということだ。

腹上死」のことを、愛する女性の胸元で絶頂のまま息絶えること──などとロマンチックに考えている人もいるようだが、実際、セックスを謳歌する世の男女にとって深刻な問題である。

 ED治療などを行なうフクリニック院長のS氏がいう。

「セックスにより心拍数や血圧が上昇した結果、病気が誘発されて死ぬことをいいます。とくに多いのが心臓血管に問題がある人が心筋梗塞や狭心症を起こしたり、あるいは脳卒中で亡くなるケース。その他、不整脈など体や血管、臓器に持病がある人も、腹上死のリスクがあるといえます」

 想像してみてほしい。不倫相手との逢瀬で腹上死でもしようものなら、遺した家族に線香さえ上げてもらえないのではないか──。

 最近、60歳を超えても活発な性生活を送っている人が増えているが、持病や何らかの身体的リスクを抱えながらセックスをしている人も少なくない。若い人に比べ、年配の人ほど、より腹上死の危険に晒されていることは間違いない。

 米国心臓協会と欧州心臓学評議会が共同声明を出したのは、そうした近年の状況を受けてのものだった。

 今回の共同声明を執筆した、米国心臓協会の特別研究員で米ウィチタ州立大学(カンザス州)のエレイン・ステインク教授がいう。

「心臓や脳などの手術をした患者でも、パートナーとの親密な生活をとり戻そうとして、不安を感じながらも性生活を復活させようとします。問題はこの不安を相談する場所がないことなんです。声明では、医師や看護師ら医療従事者に向けて、不安を抱える患者にどう対応すればいいのかのガイドラインを示しています」

 では、具体的にどんなことに気をつければいいのか。ここでは3つのポイントを共同声明から紹介する。

●医師に相談して不安を取り除くこと
<不安そのものが、心臓疾患などの病気を起こす可能性を増す。医療従事者は性生活の不安について患者が話しやすい環境を作ることが、まず第一歩である>

 不安を取り除くには医学的根拠に基づいた医師のアドバイスが効果的。少しでも不安を感じたら医師に相談すること。

●まずは焦らず前戯から
 性生活を再開させたとしても、ゆっくりと段階を踏むことが必要だ。いきなり“全力投球”は危険。

<まずはハグやキス。次にお互いの性器への刺激に進む。そこで胸痛、過呼吸、急速あるいは不規則な心拍、めまい、行為後の不眠などが見られなければ、性行為をレベルアップさせていく>

●不倫相手とのセックスは高リスク
<“秘めた相手”とのセックスは、血圧や心拍を異常に高めてしまい、結果として、突然死や心臓疾患を引き起こすと推測されている>

 調査では、腹上死するのは92.6%が男性で、そのほとんどが不倫相手とのセックスの最中だという。逆に、妻や慣れ親しんだセックスパートナーとの行為中に死亡するケースは少ない。

 これは欧米だけでなく、日本を含むアジア圏の調査でも同様だったという。

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まこっちゃん

まこっちゃん

元自動車会社工員、配管工、自動車洗車場、呉服担ぎ屋、土木作業員

昭和61年、琉球大学キャンパス内で架橋工事中に突然脳内出血に倒れる。
以降左半身不随の後遺症が残り1種2級の身体障碍者となる。

昭和64年(平成元年)リハビリセンターで入所中に知り合って交際していた女性職員と入籍。
福岡県粕屋郡古賀町(現古賀市)へ転居。彼女が働き、家事全般は夫がする暮らしを始める。生活費は折半。いわゆる「主夫」となって今に至る。

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